そもそもメタンハイドレートはモノになるのか?

青山繁晴先生によればメタンハイドレートは250年分
青山繁晴先生によればメタンハイドレートは250年分
MH21による同様の説明
MH21による同様の説明
日本近海にはメタンハイドレートが天然ガス換算で250年分!!!

青山繁晴先生のブログより抜粋

青山繁晴先生によると日本のメタンハイドレート賦存量は天然ガス使用量で250年分以上!!
これは酷すぎて論外の更に上をいくのでとりあえず無視します。あーあのオッサンまた変な事言うてら、とでも思っておいて下さい。
まずはメタンハイドレートのポテンシャルを正しく理解していきましょう。

以前から日本近海には天然ガス輸入量のおよそ100年分にあたるメタンハイドレートが賦存している!夢のエネルギーだ!と言われてきました。
新聞でもメディアでも、色んな評論家も100年分!というイメージで話をされてきたと思います。

未だに独り歩きしているこの言説。誰も正そうとしない。青山センセも正そうとしない。MH21はシレっと削除。たまに書いてあるけど。
夢のエネルギーとして出発し、多額の予算を注ぎ続けるメタンハイドレート開発はもう後戻りは出来ないのだ。

以前のMH21のホームページにはこのような基準がありました。

「1996年の論文で発表された日本周辺のメタンハイドレート資源量は、フリーガスも含めて7.35兆m3であり、日本が消費する天然ガスの約96年分である。」

実は、1996年のこの論文が「メタンハイドレートは天然ガス換算で100年分ある!という根拠なのです。エライ昔の論文ですね。

実はこの7.35兆m3というのは、メタンハイドレート下部にあるフリーガスの資源量を含んだ見積もりとなっています。その当時はMHの下部にフリーガス(天然ガス)も沢山ある!と思われてたんですね。単なる希望的観測です。
7.35兆m3のうち2.7兆m3がメタンハイドレート下部のフリーガス層の資源量として見積もられているのですが、実際に掘ってみたら溶存率の低いメタンを含んだ層であり、フリーガスは有りませんでした。採掘するにしても全くコストに合わず、メタンハイドレート下部のフリーガスは資源化への道は閉ざされました。

"従来か ら MH 層の直下に存在すると推定されてきたいわゆるフリーガス層については,本調査で取得した物理検層の解析結果(密度孔隙率と中性子孔隙 率の関係)から顕著なガス層の兆候が確認されな かったこと,また地震探査データからはガスの存 在を示唆する兆候(高周波成分が減衰しているよ うに見られる特徴的な反射波)が認められるもの の定量評価に耐え得る十分なデータが坑井位置で 得られていない"

よって、7.35兆m3ー2.7兆m3=4.65兆m3がメタンハイドレートの「原始資源量」となります。
そしてまた、この100年分!と言っていた当時の日本の天然ガス輸入量は年間約750億m3でした。なんと現在は1000億m3を超えます。
輸入量で約1050億m3となっております。

フリーガス層の見積もりを除いた値4.65兆m3を現在の消費量で計算し直すと...

およそ44年分に相当します。多くても少なくても何でもかんでもコストも技術も関係なく採れたとして(実際の回収率はまだ計算されておりませんが、半分以外である事は確実です)2016年の天然ガス輸入量で言えば44年分です。この先天然ガス消費量が増えれば増えるほど、この数字は目減りしていきます。この値は原始資源量であり、回収率を半分と見積もると(石油の回収率30〜40%、天然ガスの回収率60〜70%)、約22年分に相当します。
全てが上手くいったとして、MHは日本の天然ガス輸入量で言えば20年分位しか使えません。

未だにメタハイは100年分!と言っている人がいたら、もうその人はその分野では信用ならない人認定して大丈夫です。まやかし野郎か、もしくは何も知らないド素人のどちらかです。
青山繁晴先生に至ってはもう本当の事は言わないで1万年分くらいあるよ!とでも言ってあげて下さい。もう老い先短いですから。
(今でも日本海のMHは熱分解起源だから無尽蔵とかまで言ってます)

メタンハイドレートの研究者で現在でも100年分!と言う人は100%いません。(あ、千春博士がいたわ。)

MH21による同様の説明

現在開発が進む東部南海トラフは?

砂層型メタンハイドレート資源量調査には「濃集帯」と「それ以外の賦存層」と分けられます。

メタンハイドレートは海底下からのメタンのフラックスがメタンハイドレートの安定領域内でトラップされたものです。その閉じ込められた層は砂層、泥層といっても実態は様々であり、地層の空隙に閉じ込められたメタンハイドレートの飽和率(地層の空隙に含まれるメタンハイドレートの割合)はその地層の様相に依存します。
ようは泥層の中にゴロゴロした結晶が10%しかメタンハイドレートが含まれない層もあれば、砂層の空隙の中に最大80%を超える飽和率の層もあります。

南海トラフにおけるタービダイト砂泥互層の砂層に含まれるメタンハイドレートが多く含まれる層。これを濃集帯と呼び、現在開発のターゲットとされているのは、この濃集帯のみです。

詳しくはこちら。
MH濃集帯とMH賦存層
MH濃集帯とMH賦存層
東部南海トラフの資源量
東部南海トラフの資源量
この下図のPmean(平均値)で求められた数字が、確率論的にもっともらしい数字として提示されております。

約5739億m3

日本の天然ガス輸入量で割ると大体5.5年分となります。濃集帯以外のMHを採掘するのは現在でもコスト問題がある中ではほぼ不可能です。

東部南海トラフのメタンハイドレートが実用化されたとしても、5年ちょっと分しかない。という意識は持っておきましょう。回収率50%と仮定すれば3年分もありません。しかし、本当はこれでも十分凄い事なのです。青山センセがMHは輸出出来る!アジアにおすそ分けして日本は再びアジアのリーダーになれる!!とか言うクソ言説さえなければ...。