青山繁晴先生とメタンハイドレートの出逢い

1997年1月、ナホトカ号重油流出事故が発生し、青山繁晴先生の愛する妻である青山千春水産学博士の大学(当時はポスドク研究員)の研究室へ海中の重油の湧出量を計測調査依頼があり、海鷹丸四世で沈没海域へ向かい調査を行う。その帰り道に、魚群探知機を点けっ放しにして船を航行させてた際、隠岐島の東方海域を航行中、柱上の物質が自噴しており、2003年頃地質学者に紹介された当時東京大学教授松本良氏と出逢い、メタンハイドレートと判明し研究を開始。

海底からの沸き立ち上がりの一例 
水深2400m、日本海、1997年海鷹丸3世(青山千春)

これが全てのきっかけである千春博士が初めて見つけた柱状の「メタンプルーム」と呼ばれる、海底から湧出するメタンの泡が魚群探知機(水中音響機器)に映った柱。
千春博士は隠岐島にローソクのような形のスカイツリー大の何かがあった!と言ってますが、実際の画像からは「メカの誤動作かな?」レベルに見えます。メタンハイドレートに関わり出したきっかけにしては少し小さな理由のような気もしますが、1997年に見つけたこの謎の立ち上がりの正体は2003年まで不明のまま千春博士は民間の研究員(アジア航測、三洋テクノマリン)として働いていました。
仕事で出会った地学の教授に紹介を受け、千春博士は東大理学部の門を叩きました。

ここから東大他との共同研究の歴史が始まります。

青山繁晴先生は講演会などで、政府や東大から無視されていた青山千春博士に連絡が来た。などと仰っておりますが、当時はまだ博士号取り立てのポスドク研究員でした。
世の中のポスドク研究員はほぼ全員政府から無視されてるのではないか?無視するためにはその存在を知っていなければなりませんが、存在を知らなければ無視のしようもありません。
関西テレビ「アンカー」等ではこの時も「千春博士の特許技術を使って」と言っていますが、後述する特許は2005年の取得であり、この当時は千春博士の研究分野から選ばれたのであって、特許云々は全く関係ありません。




佐渡沖での事前調査中に偶然発見された表層型メタンハイドレート

2003年、旧石油公団による新潟県佐渡沖の石油天然ガス探査の基礎試錐のための事前調査が行われました。
なんとその際にメタンハイドレートが偶然に採取されました。「日本海」でのメタンハイドレートの発見です(厳密には1989年の奥尻海嶺でのコア採取が初)。

"「2003年にこの海域で試掘した時に少量の石油やガスが確認された」と、
実はこの2003年こそ、私たちはこの調査に同行した青山千春博士がメタンハイドレートを見付けてしまったんです。"

青山センセはこの事前調査に青山千春博士が同行し、メタンハイドレートを見つけてしまった...とラジオで語っておりましたが、これは完全に間違いです。気をつけて発信を聞きましょう。(http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2032.html)

ちなみにこのメタンハイドレートを開発させない為の妨害だ!と言ってる佐渡沖の在来型資源の調査、期待されておりましたが、充分な賦存量を確認出来ず、開発は見送られました。政府もきたいしていたのですが、残念でした。


青山繁晴先生、及び青山千春博士は太平洋側砂層型メタンハイドレートの事をよく「分子レベルで砂と混じっている」と言いますが、これは「採取されたサンプルが目視ではメタンハイドレートが見えない事がある」、というだけであり分子レベルで混じる訳がありません。サンプルによっては氷状の物が見える事もあり場所によっては表層数メートルに賦存している場合もあります。

またその賦存域について深度3000〜4000m、さらにその海底の下700〜800mなどと事を言ってたりもしますが、実際に確認され調査、試掘されているのは深度700〜2000m、さらに海底下250〜400m程です。南海トラフそのものの深さとメタンハイドレートの賦存域は異なります。トラフの底にメタンハイドレートがあるわけではありません。大陸から砂、泥が流れていく縁辺域には空隙の大きなタービライト層と呼ばれる層があり、多く賦存が確認されております。
(代表的な例https://youtu.be/kTPhUB2eCqo)

表層型メタンハイドレートに政府が乗り気でない事で、青山繁晴先生は少し太平洋側を悪く言ってしまう事が多々ありますが、事実の方が大切です。
間違った認識の方はそれを正せる努力をしましょう。
(MH21による砂層型メタンハイドレートの解説



青山繁晴先生、及び青山千春博士は太平洋側のメタンハイドレートは砂と選り分けないといけないからコストがかかる。
しかも「海上で」砂と「分子レベル」で混じり合ったメタンハイドレートを選り分けないといけない、などと言っていたりします。
実際には砂層型のメタンハイドレートも目視が可能です。顕微鏡で見たら、砂の空隙にメタンハイドレートが多く含まれているのが鮮明に確認できる、という認識の方が事実に近いです。まず、科学的に砂と分子レベルで混じり合う事など不可能です。

青山繁晴先生はまだ良いですが、世界のメタンハイドレート研究の第一人者、青山千春博士までもがそのような間違った事を言うのは問題です。


減圧法はメタンハイドレートを含む砂層から圧力を抜く事によって分離されたガスのみを採取する方法です。

間違っても「砂金を選り分け無きゃいけないみたいに、砂と選り分けなきゃ採取出来ないからコストが〜」などと言わないようにしましょう。元々太平洋側のメタンハイドレートは砂層の空隙に存在し、石油工学の技術を応用すれば「ガス」を取り出せる可能性が高い、として始まったものです。