世紀の大発見?メタンプルーム

青山千春博士が世界で初めて「日本海」で発見した

メタンプルームとは、海底から噴出するメタン気泡やメタンを含んだ水塊が魚群探知機等の水中音響機器で柱状にイメージングされたものです。
プルーム=柱。

上の写真の海底から出る泡の事はメタンシープと呼びますが、下の写真のようにイメージングされたものはメタンプルームと呼びます。

青山繁晴先生はメタンプルームの事を「メタンハイドレートが分離した粒々」と講演会、テレビはたまたなんと国会の場ですら発言していますが、実際は明らかな気泡体、もしくは海底直上でハイドレートの殻を被った気泡です。
間違った事を言うのはいい加減にして欲しいですね。恥ずかしい。

このメタンプルームは青山繁晴先生によれば「青山千春博士が世界で初めて発見した」そうです。しかも名付け親らしいですよ。凄い偉業ですね。

青山繁晴「で、これをメタンプルーム、プルームって柱のことですが、メタンプルームと名付けまして、初めて、世界で初めて発見し、そしてそのために特許を取ったのが、私たちの独立総合研究所の青山千春博士なんです」
関西テレビ「アンカー」他多数

青山千春博士がメタンプルームらしきものを初めて見たのは1997年。それがメタンプルームだと認識したのは2003年の出来事です。(希望の現場 メタンハイドレート:青山千春)

それでは、千春博士の発見以前に論文に掲載されたメタンプルームを見ていきましょう!


この画像は1989年に捉えられたメタンプルームの画像です。かなり鮮明に捉えられております。千春博士の発見の10年近く前には普通に論文に出ています。不思議ですね。
これは2004年のKOMEXの論文に掲載されているメタンプルーム。
KOMEXは1998年にも魚群探知機にてメタンプルームを探す手法を使っていました。

(https://www.geomar.de/div/projects/komex/objectives.html)

1998年にオホーツク海にてドイツ、ロシアの共同チームが魚群探知機にて捉えられたメタンプルーム 。さらに水中ビデオカメラにてガスチムニー群を発見しています。
メキシコにて捉えられたプルーム。
日本の研究者も普通にメタンプルームを調べてますね。
それもそのはず、北見工大はCHAOSプロジェクトにも参加し、オホーツク海のメタンプルームなどとっくの昔に知ってますからね。
あれ?おかしいですね。2000年の日経サイエンスの雑誌論文(原文はベーゴ)にも「メタンプルーム」と紹介されています。

というわけで、千春博士がメタンプルームを世界で初めて発見した!などというのは単なる妄想です。騙されないで下さいね!

信じられないかもしれませんが青山繁晴先生が言うのは青山千春博士は「日本海の」メタンプルームを世界で初めて発見したって意味なんですよ。
笑う所ですよ。笑ってやって下さい。

また青山先生は「スカイツリーと同じ大きさの柱が海に林立している!」
と得意げに話しがちですが、メタンプルームのメタン気泡の噴出量とその高さには相関性はありません。高さがあるから沢山出ている訳では無いのです。
メタンは海水に溶けやすく、通常の海底からのメタン噴出では海水面付近まで立ち昇るメタンプルームなどは見られませんでした。

日本海の海中深部は「日本海固有水」という非常に冷たく、また海流の少ない海水です。
ここでは、海底から噴出したメタンガスは直ちに凍ってしまい(ハイドレート化)、その凍った殻を持った気泡がゆっくりと海中を上昇する事でメタンが海水中にすぐに溶けることなく海面下300m程まで運ばれるのです。



世界を変えた特許技術「あおやまメソッド」

青山千春博士は2004年の東大らとの共同研究にてメタンプルームを日本海にて発見した直後である10月に、魚群探知機にてメタンプルームを発見し、その下の資源を探索する技術を特許申請しました。

2005年には無事に登録され、さらにはアメリカ、ロシア、EU(全加盟国)、韓国、中国にて国際特許も取得致しました。
(特許の詳細へはリンクが貼れないので、特許の検索で「青山 千春」と入力し、各々検索して下さい)
どんな内容の特許かをかいつまんで言うと

「地震探査法などの資源探査は大掛かりで手間や予算が掛かるのは問題だ。魚群探知機などの安い水中音響機器にて所定の範囲の周波数数で所定の範囲の散乱強度(SV)があり、その形状がこんな高さの形状ならば、その海底に資源がきっとあるよ。お金かからないよ」

という特許です。

前述した通り、メタンハイドレートに関連したメタンプルームは既に論文としても公知されており、また魚群探知機でのメタンプルーム調査が既に海外、国内でも行われている現状を鑑みれば、この特許自体「パクリ技術」と言われてもしょうがないのですが、何故か特許庁は登録してしまいました。



これは松本良教授らがオレゴン沖にて2000年に確認したメタンプルームです。
青山千春博士は書籍などで「今までのメタンハイドレートの研究者は海底ばっかり見てて水中を見ていなかった。自分の技術のおかげでそれに気づき、メタンハイドレートの採取が格段に効率が良くなった」と言っていますが、当然松本教授は水中音響機器に映るメタンプルームなどとっくにご存知でした。

後に青山繁晴先生は松本教授に対し「千春博士の許可を得ずにその特許技術を使ってる。これは犯罪である。しかも特許を奪おうとした!」と言っております。

松本教授他の研究者達からすらば、元々公知の技術を使って何が問題なのかすら分かりません。
しかも青山繁晴先生は名前さえ出さなければOK!として批判した研究者達に直接取材することなく、またその地位を仄めかすなど、調べたら個人がすぐ分かるようにうまく誤魔化しながら人を攻撃するのです。
人として最低だと思います。


青山夫妻が口を塞ぐガスチムニー構造

ガスチムニー構造(チムニー=煙突)とは、表層型メタンハイドレート、フラクチャ型メタンハイドレートに特徴づけられる、地震探査などの音波探査で垂直に発達する混沌帯(カオティックゾーン)、または反射面が見えなくなるブランキングゾーンをそう呼びます。
直径は100mから最大のものでは3kmにも及び、そのゾーンの「底(深さ)」は100m〜1kmもあるとされています。
これはガスあるいはガスを含んだ流体が地層内を上昇している通路、と考えられています。
このガスチムニーの上部がメタンハイドレートの安定領域内にある場合、深部から達したガス及びガスを含んだ流体が個体(ハイドレート)化してトラップされます。

ガスチムニーはサブボトムプロファイラー、地震探査、AUV地質探査など様々な機器、調査法でその様子を見る事が出来ます。

これまでの表層側メタンハイドレートはそのほとんどがガスチムニー構造内で採取されており、またメタンプルームもそのほとんどがガスチムニー内で噴出している事が確認されております。
逆にガスチムニーは発達しているがメタンプルームは見られない、といった場合も多々あります。


メタンハイドレートが存在する箇所からは必ずプルームが出ているわけではありません。

またメタンプルームの真下に100%メタンハイドレートがある、と青山繁晴先生は仰いますが、千葉県外房沖など水溶性天然ガスの地表への湧出地域付近では、海底からのガスプルームも発見されており、これはメタンハイドレートを特徴づけるものではありません。
また熱水の活動域にもプルームは見られ、これもメタンハイドレートを特徴づけるものではありません。

ガスプルームを見つけるだけでは、それが何を起源としているかは分かりません。

プルームの真下には100%必ずメタンハイドレートがある訳ではない。

海底火山のカルデラ地形から立ち昇る熱水プルーム。
千葉県外房沖に見られるガスプルーム。

無意味な特許技術

青山繁晴先生は、松本良特任教授を代表とする明治大学ガスハイドレート研究所に委託され、2013年から2015年の3年間行われた表層型メタンハイドレート資源量調査について

「青山千春博士の技術が使われた。これは犯罪である。本当ならばこの調査は千春博士がやるべきだった。またこの特許は使用料を取っていないが、もし取っていればハリウッドに別荘が4、5軒建つ」

と虎ノ門ニュースにて笑えない嘘をつきました。
(http://sp.nicovideo.jp/watch/sm26976189日本が資源大国化へ①〜⑤)

資源量調査には様々な最新の技術が使われており、メタンプルームばかり見てるだけの青山千春博士には全く持って取り入る隙などありません。

またガスプルームを見るためだけならば、マルチビームソナーという機器を使えば、より詳細にまたより広範囲に見る事が出来ます。
マルチビームソナーによるメタンプルームの例
魚群探知機のパルスの幅は海底1000m程度の深海底では100m程度の幅まで広がっており、反射体の位置はその幅の中のどこにあるのか把握する事が出来ません。

しかしマルチビームソナーでは、何本もの指向性の高い音波ビームを同時に発射し、海底の地形を面的(3D)に調査する事が出来、またメタンプルーム調査においても、魚群探知機とは違いその位置を一度で正確に把握する事が出来ます。

青山千春博士の特許技術「あおやまメソッド」にはマルチビームソナーなど複数の音波ビームを使用した技術は特許の請求項には含まれておりません。

調査船を使った調査では、魚群探知機によるプルーム調査は、既に時代遅れなのです。

青山千春博士は「中韓などの野心を持った国家がこの簡便な技術の特許を取得し、日本に使わせないようにするのを防ぐ」為に特許を取得した、と仰っております。

それならば何故世界中の国際特許まで取り、またその特許証を「独立総合研究所の社長室」に飾るのか。

今まで普通に技術を使ってきた研究者が「特許侵害だ。使用料は取らないが申告しないのは犯罪だ」と言われなければならないのか。

2014年のAGU(地球物理学の国際学会)での独立総合研究所の発表の中にはこんな記述がありました。

"Authors has obtained patents of several nations to detect methane plumes using commercial fishermen's sonars, however, no royalty has been required to use for scientific purposes."

"その辺に売ってる釣り船用の魚群探知機"でメタンプルームを見つける特許だったの?

もう何がなんだか...。